3Dスキャナー活用事例
代表の井澤です。
暑い夏もお盆を過ぎ、朝晩は涼しい風が吹くようになってきました。
多治見市が40.9℃の最高気温を記録したのは、10年前の2007年8月16日。
あれから10年が経ち、暑い町として多治見市も名が知られるようになったのは喜ばしい事ですが、
一市民としては早い秋の訪れを願うばかりです。
さて当社では、様々なモデル製作をしておりますが、
今日はいくつかあるデジタルツールのうちの一つを御紹介します。
形ある立体物を計測し、3Dデータにする事が可能な3Dスキャナー。
針のようなプルーブを立体物に接触させながら計測する機器や、
カメラによる非接触の機器など計測器も様々ですが、
当社が所有しているものはGOM社「ATOS CompactScan 5M」。
非常に小型ながら測定精度は0.017mm程度と大変優秀です。
お弁当箱より少し大きい位のサイズですが、
これでトヨタクラウンが2台購入できます。
カメラが高価なのか、制御しているソフトウェアが高価なのか分かりませんが、
大事に長く使わないととても見合うものではありません。
このATOSを使い、金型計測から製品の3Dデータ作成や、
樹脂・アルミ成形品の寸法検査など様々な分野で活用をしていますが、
当社の特徴でもある職人技による手作り原型をデジタル化することでも利用しています。
石膏で製作した彫刻をスキャンし、樹脂製品の意匠面に貼り付ける一例。
製品化したものをお見せする事ができませんが、
3次元CADでダイレクトにモデリングしたものとは出来栄えが違います。
他に陶磁器製品、セラミックス製品などの窯業産業においては、
13%程度の収縮や歪み、垂れといった形状変化が起こります。
これらを考慮し原型製作を行いますが、
焼成したものとの差を検査するのにはATOSは無くてはならない存在です。
一昔、「焼物なら多少違っていても仕方ない」と全く問題にならかった事が、
昨今、陶磁器産業においても高品質、高精度が求められるようになってきています。
人間の技のみでは難しい製品作りも、このようなデジタルツールを上手く活用することで、
短納期、高品質を実現できる時代になってきました。
あと10年もすれば、歪や垂れを自動で計算してくれる便利なCADが製品化されるかも知れません。
そうなると、原型師も必要とされない時代が来るのでしょうか。
正直、デジタルの進歩は人間の居場所を無くす、怖~い存在です。